宮崎正弘の国際ニュース・早読み 北朝鮮の核ミサイルは国連安保理事会でこそ世界的関心事だが (2017年09月20日発行) | 宮崎正弘の国際ニュース・早読み - メルマ!

露西亜ベラルーシ独裁政権の思惑は那辺に有りや無しや。近隣諸国は疑心暗鬼に取り付かれるわな。

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

平成29年(2017)9月20日(水曜日)

       通巻第5439号   

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 北朝鮮の核ミサイルは国連安保理事会でこそ世界的関心事だが

  東欧からバルト三国、北欧諸国はロシアの軍事的脅威が最大の関心事

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 ロシアはベラルーシと共同で「ザパト2017」という軍事演習を大々的に行っている。合計10万人の軍人が動員され、最新兵器もずらりと並んで、その威力を見せつけている。

 9月14日には地中海からは巡航ミサイルをIS拠点に飛ばしたが、これは潜水艦発射の新型だった。

 NATO諸国ばかりか、未加盟のフィンランドも、旧東欧諸国も異様な警戒心で、ロシア、ベラルーシの軍事演習を見ている。在NATOの米軍司令官ベン・ホッジス中将は「明日にも大規模な戦争を用意しているかのようである」とし、08年のグルジア侵攻、2014年にウクライナ侵攻を例に挙げた。「これは東欧侵攻の前触れではないのか」。

 軍事演習に参加しているベラルーシは、これを見せつけることによって国内の反体制派への心理的威圧を加える計算もあり、ルカシェンコ独裁体制はまだまだ揺るぎそうにない。

 ロシアの意図は、対NATO向けというより、ウクライナへの武力威嚇ではないかと考えられる。

 9月17日の演習ではYAK30型練習戦闘機に加えて、最新鋭スホイ34、T80新型戦車も投入された。

後者は全天候型で従来戦車の改良版。また落下傘部隊が戦車とともに降下訓練が行われ、自信を得たロシアは画像を公開している。

 ドイツが最も脅威視しているイスカンダル・ミサイルも、発射実験が行われ、カザフスタンに設置されて目標を正確に破壊した。ロシアの「イスカンダル」はアレキサンダー大王を意味する。

イスカンダル(コード9K720)にはクラスター爆弾弾頭、燃料気化爆弾弾頭、威力増大型弾頭、バンカーバスター用の地中貫通弾頭、対レーダー作戦用の電磁パルス弾頭などが搭載できるシロモノ、射程は500キロ。ドイツの目の前にあるロシアの飛び地=カリニングラードにも配備されている。NATOのコード名はSS−26.

 かくして北朝鮮の核ミサイルの脅威は国連安保理事会でこそ世界的関心事だが、東欧からバルト三国、北欧諸国はロシアの軍事的脅威が最大の関心事なのである。

 ▲ところが国連総会でのトランプ演説は

 9月18日、トランプ大統領はものものしい警戒の中、NY入りし、国連総会に出席して演説した。

世界のテレビが放映したが、このなかで、トランプは激しく攻撃したのは北朝鮮だった。金正恩を「ロケットマン」と皮肉り、返す刀でイランを非難した。

 

 トランプ演説はTPPにもパリ協定のも触れず、「主権」を21回使って、ナショナリズムを基調としていたが、中国は「ある国」とし、ロシアは「主権侵害」のウクライナという文脈で批判しただけで、つぎにベネズエラのマドロゥ大統領を批判した。

 ロシアを正面から批判しなかったのである。

 イランとの前政権との核取引は悪いとするや、イスラエル代表団は声援をおくり、とくにネタニヤフ首相は直後の記者会見で、「過去三十年、こういう立派な米大統領演説は初めて聴いた」と礼賛した。

 演説後、トランプは二日間に渡って、NYに滞在し、まずはカタール代表と懇談して中東問題の調停に入る。

このためトルコ、ヨルダン、パレスチナ自治機構、エジプト大統領とそれぞれ会談し、アフガニスタンウクライナ代表とも個別に会う。

最終日に日韓米の三者会談を予定している。 

 

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声

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(読者の声1)北の核武装に対して米国ではついにタブーだった日本の核武装が相当深刻に討議されていますね。明確に日本の核武装をみとめよとする論客が目立つようになって、日本の外務省も防衛省もビックリでは?

 それにしても中国の態度が煮え切らないでのいらいらしていますが、トランプと習近平の間になにか密約があるとお考えですか?

  (JJセブン)

宮崎正弘のコメント)中国の要人は本音を言いませんから、分かりませんが、明瞭に北朝鮮の核に反対意見を述べているのが中国の国連大使です。

 三つ理由を挙げています。

 第一に北東アジアに軍拡競争を激化させる。とくに日本の核武装を容認せざるを得なくなり、ゆえに北の核武装に反対である。

 第二に中国は核不拡散防止条約を遵守しているので、北の核をみとめるということは、この条約の効果を希釈させ、印度やパキスタンの核を合法としなければならなくなる。

 第三に北東アジアの安全保障に取って、不安定要因が増大する。とくに中国で言えば核汚染が東北三省に広がる懸念。いまひとつは北朝鮮の核はいつでも中国を標的にチェンジすることが可能である。

 一の理由は、日本がターゲット。二の理由は口実似すぎず、ホンネは第三でしょう。金正恩の核はいつでも北京に向けられますからね。

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(読者の声2)韓国人の人気ブロガーであるシンシアリー氏、著書も扶桑社からすでに9冊目。韓国の歯科医院を譲り日本へ移住、作家活動に専念する毎日。

ブログ記事には韓国人ならではのものがあります。最新の記事では「北朝鮮の栄養不足の子どもたちにパンを食べさせよう」という活動をする団体が沖縄で反米軍基地闘争を行っているというもの。

https://ameblo.jp/sincerelee/entry-12312242874.html

 ハングルの横には日本語で「戦争の基地は要らない、わたしたちは平和を望んでいる、米軍の基地は出て行け」

となんともわかりやすい。

パク・クネ退陣要求デモに日本の中核派系の労働組合が参加していたこととつながります。沖縄の反戦活動家はサル並の知能しかないとさんざん馬鹿にされていますが、画像を貼っておきます。

http://netgeek.biz/archives/83434

 テロ等準備罪などの法律も整備されました。もうじき一網打尽でしょうか。

   (PB生、千葉)

宮崎正弘のコメント)先日、あるところで「解放」を配っていました。これ、革マル派の機関誌ですが、まだあるんですね。

そして「北朝鮮ICBM断固阻止」と叫ぶ一方で、「日本の防衛力反対、安倍の日米同盟断固粉砕」と二律背反の大文字が並んでいました。論理矛盾に気がつかないのか、一人勝手なロジックは相変わらずでした。

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 

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樋泉克夫のコラム

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【知道中国 1630回】    

――「濫りに東方策士を以て自任す。此徒の心事最爲可憫」(阿川4)

  阿川太良『支那實見録』(明治43年

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 西洋人商人は天津に設けられた英仏の2つの租界において、いずれも豪壮な商館を構えて取引している。「翻て我商館を見るに」、最大規模の三井洋行ですら「支那家屋を以て之に當」て、多くは「佛租界中の一小屋に蟄居するのみ」。かくて「自尊自慢」が習いの「支那人」なればこそ、日本商館を見て「豈に歐人を揚げ、我國人を貶せざらんや」。

 日本商館が貧弱ゆえに、現地商人は「豈に歐人を揚げ、我國人を貶せざらんや」との主張で思い到るのが、時に華人企業家が口にし実践して来きた「建物は富を生まない」という“哲学”だ。たとえば今や世界の華人企業家の代表的存在であり、北京政府とも密接なパイプを持つタイの謝国民(タニン・チョウラワノン)は、自らが率いるCP(正大)集団の本社を、バンコクのチャイナタウンに置いたままだった。

80年代半ばに本社を訪れたことがあるが、CP集団の営業規模の大きさに較べ、建物の貧弱さに驚かされた。その後、同集団は本社をバンコクのビジネス街のど真ん中に移転させたが、それでも日本の大手商社本社の高層で超豪華な佇まいに較べたら、明らかに見劣りがする。

 であればこそ「歐人を揚げ、我國人を貶せざらん」とする要因は、他にもあるように思える。もちろん、19世紀末の天津と現在のバンコク、天津商人とバンコク華人企業家とを同列に論ずることの当否はあろうが。

 

 再び阿川に戻ると、じつは「我航海船の初めて當港に通ずるや、邦人相爭ふて店を開きしも」、やがて多くは撤退し、いまや三井洋行をはじめ4軒のみ。その原因を探ってみると「一に曰く氣候激變の甚だしきこと」、「二に曰く活計程度の高きこと」、「三に曰く資金の薄弱なること」、「四に曰く忍耐力に乏しきこと」である。

天津の夏冬の過酷な天候は、「第一軟弱なる商人等の勝ゆる能わざる所」だ。「當地家賃の昂貴なることは殆ど我東京に駕し、庶物亦之に伴ふ」点に、駐在日本人は苦しむばかり。加えるに「輕く人を信ぜす、又深く人を信す」という「支那人の性」も、日本商人の定着を阻む要因という。先ず立派な店舗を構えれば、彼らは心ひそかに「?飾店」と見做し「必らずや日を經ずして斃るへしと、笑て顧み」ない。

 だが、ここで持ちこたえれば3年目にして「是れ侮るへからすと、憑るへき乎と」態度を改め、「是より信を置くこと日に厚く心傾け誠を盡す」ことになる。彼らは「既に一旦信を措く以上は、仮令他より喙を容れ誹謗讒間を試むるも、渠れ堅く信して疑」うことはない。だが、なにせ日本人商人は「薄資にして忍耐に乏しきもの」であり、「三年の久しき豈泰然自若として」営々と日を送ることができない。「大抵一ヶ年若くは二ヶ年にして『アー支那ハ駄目ダ』との嘆聲を發し、店を閉づるに至る」。かくて阿川は、「嗚呼忍耐なる二字は、是れ商家の骨髓にあらずや、而して今志を立て、萬里の波濤を、踐み破りたる商人にして尚如此、我商家の賑はざる」は致し方なし、となる。宜なる哉。

 以上の指摘は、なにやら現在にも通じるように思えるのだが・・・。

 次いで阿川は「明治廿四年中支那貿易各港總輸出價格表」ほかの貿易統計を示しながら「我國の遠く歐米に及ばざること明瞭なるべし」。「我邦人の徒らに喋々東洋貿易の事を説く」が、実情から見て「實地手を下すもの尠なき」ことを示している、とする。

その「大なる原因」は、貿易港數の歐米人より寡きこと」である。当時、上海、漢口、廣東など25港が海外に向って開かれていたが、日本との条約港は上海、鎮江、漢口、九江など14港に過ぎなかった。

「他は皆歐米人の爲す所に任す、我邦人は唯だ指を咬へ涎を垂るゝのみ」。「我國と支那」との地理的・歴史的関係からして欧米諸国に遅れを取っている点を、「局に當るの人一考して可なり」。「局に當るの人一考して可なり」とは・・・今も同じだろう。

QED

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今日の「知道中国」は僕と考え方が違うのでコメント無し。

北の核は北京に向けられてるんだと僕は思っている。AIIB総会の開催に合わせてミサイル発射は何を意味するのだろうか。その他諸々考えさせられる。トランプの国連総会での演説は北に終止したようだが・・・。北京の腹の中をまだ探ってるのかな?